政府は、裁量労働制の範囲拡大の実施時期を1年延期する模様です。これについては、政府が国会に提出したデータに不備があった事などが話題になっていますが、本稿では今少し本質的な問題について考えてみましょう。
「裁量労働制か否か」より「ブラック企業か否か」
裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用されるものです。これが適用されると労働者は実際の労働時間と関係なく、労使であらかじめ定めた時間だけ働いたものとみなされます。
これに対しては「働かせ放題の企業を政府が容認する法律だ」という批判がありますが、労使が合意することが必要なので、もしも本当にそうならば、労働組合が合意しなければ良いだけの話です。合意する場合でも、労働時間の上限を定めた条項を入れておくことも可能でしょう。