【産経抄】拉致問題解決へトランプ氏から強い言葉を聞きたい 10月15日
幼い頃に生き別れた母を捜し、博徒の忠太郎は江戸に出た。
▼母とおぼしき人の消息を知る老女は言う。「子供のことなんか忘れているよ」。すげない言葉に忠太郎が色をなす。「たとい何十年経(た)ったとて生みの親だあ、子じゃあねえか、体中に一杯ある血は、双方ともにおんなじなんだ。そんなことがあるものか」。長谷川伸の戯曲『瞼(まぶた)の母』である。血は水よりも濃いという。
▼忘れるなんてことがあるものか-。小紙連載『めぐみへの手紙』を読む度、そうつぶやいている。北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(53)の両親による手記は毎回、「めぐみちゃん、こんにちは」で始まる。40年前にさらわれて以来、父の滋さん(84)と母の早紀江さん(81)が描く“瞼のわが子”は13歳の「めぐみちゃん」のままなのだろう。歳月の仕打ちもむごい。
▼拉致被害者5人の帰国から15年がたつ。めぐみさんらの「死亡」を北が通告してから過ぎた15年でもあり、ほかの被害者救出に進展をみなかった15年でもある。9月に開かれた「救う会」の国民大集会を横田夫妻は欠席した。高齢化という歳月の追い打ちである。「一日も早く」ではない。救出も家族との再会も、秒針の刻みを絶えず意識しながら急ぐ必要がある。
▼11月に来日予定のトランプ米大統領が、被害者家族と面会する計画があるという。オバマ前大統領は3年前、「親として許せない」と家族に解決への前進を誓った。同じ言葉、いや、それ以上の強い言葉をトランプ氏から聞きたい。「地獄のような日々」という家族の痛みに終止符を打つ、具体的な方策を語ってほしいものである。
▼歳月が罪を忘却のかなたに押し流すと思うなら、考え違いも甚だしい。北の為政者よ、そんなことがあるものか。
>が、自国民を自国で守れない日本、
国防弱小国日本、マスコミにその自覚、認識はないのか?
自国民救出を他国に当然のように丸投げする国
それが戦後日本の悲惨な姿、国民の多くに、いまやその感性もなし