(譚 璐美:作家)
防衛省は4月6日、中国海軍の空母「山東」が波照間島の南およそ300kmの海域を東に向かって太平洋上を航行しているのを確認した、と発表した。
「山東」は「遼寧」に続いて中国が建造した2隻目の空母で(註:遼寧はウクライナから購入した「ヴァリャーグ」を建造再開して完成させたもの。山東は中国初の国産空母)、公開された写真には、多数の戦闘機が甲板に停まっているのが見える。
(譚 璐美:作家)
防衛省は4月6日、中国海軍の空母「山東」が波照間島の南およそ300kmの海域を東に向かって太平洋上を航行しているのを確認した、と発表した。
「山東」は「遼寧」に続いて中国が建造した2隻目の空母で(註:遼寧はウクライナから購入した「ヴァリャーグ」を建造再開して完成させたもの。山東は中国初の国産空母)、公開された写真には、多数の戦闘機が甲板に停まっているのが見える。
アレクサンドル・ガブエフ(米カーネギー国際平和財団ロシア・ユーラシアセンター所長)が、3月18日付の英エコノミスト誌に、「ロシアの中国依存はプーチン後も続く」と題する寄稿をし、ロシアの中国の属国化時代を予想している。
習近平が3月20日に国賓としてロシアを訪問する。ロシアは両国間の対等性を示そうとするだろうが、広がる両国間の力の差は隠せないだろう。
プーチンは、ウクライナ攻撃を米国支配への反乱、ロシアの完全な主権への跳躍にしようとしている。しかし現実は異なる。開戦後13カ月、ロシアは、経済的にも外交的にも中国にますます依存している。2022年、ロシアの輸出の30%、輸入の40%を中国が占めた。ロシアのドル・ユーロへのアクセスが西側制裁下にあるので、この貿易の大きな割合が中国元で決済されている。西側がロシアの天然資源への依存を低める中、この依存は今後も増大する。
西欧侵攻を排除し、太平の世を確立した徳川幕府は、国内の銃砲統制、軍縮を断行し、日本の銃砲発達は止まった。明治以降、徳川幕府は「停滞と不正の象徴」のように喧伝されるが、江戸太平の世に日本の経済・産業・技術は発達する。
ドイツの考古学者、ハインリッヒ・シュリーマンが幕末に3カ月滞在した日本について記した『シュリーマン旅行記』を見てみよう。
幕末動乱期の1862(文久2)年8月、薩摩藩藩父、島津久光の行列を馬に乗ったまま横切ったとして、家臣が英国人一行に斬り付け、1人が死亡、2人が負傷する「生麦事件」が発生した。
英国は翌63年、犯人処罰要求に応じない薩摩に怒り、艦隊を薩摩に派遣した。薩英戦争が勃発した。
元綱数道著『幕末の蒸気船物語』(成山堂書店)によると、英国艦隊(蒸気軍艦7隻)には、最新鋭のアームストロング砲装備の最新艦が初めて実戦投入された。アヘン戦争の半分程度の兵力で、薩摩には十分と考えたのだろう。
米国中心の自由主義諸国で「脱中国」が加速している。中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をはじめ、通信機器や監視カメラといった中国製製品の利用・設置を禁じる動きが進んでいるのだ。台湾併合の野心を隠さず、覇権主義を強める中国への軍事的対峙(たいじ)に加えて、情報収集や漏洩(ろうえい)を阻止するため、多くの分野での「対中デカップリング(切り離し)」が明確になっている。ただ、政財官界に「親中派」が多いとされる日本の危機感は強くない。当局者や識者は警鐘を鳴らしている。
中国当局に、大手製薬会社「アステラス製薬」の中国現地法人幹部が「スパイ容疑」で拘束されたことを受け、日本の「外交」や「危機管理」の課題が浮上している。日中は国交回復以降、経済・友好関係を拡大させてきたが、中国が専制主義的色彩を強めるなかで齟齬(そご)が目立ち始めている。むき出しの利害が衝突する外交の現場では、交渉の武器となる軍事力や対外情報機関の裏付けも不可欠なのだ。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、拘束された邦人を奪還するためにも、「スパイ防止法の制定」を訴えた。