(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
今回の米国のドナルド・トランプ前大統領の起訴という異様な事態が裏づけたのは、いまの米国政治全体の流れがトランプという1人の人物によって左右される、という現実だろう。
2022年秋の中間選挙で、トランプ氏が支持した一部共和党候補が敗北したことから、「トランプ氏はもう終わった」との断定が広がった。だが、その見方はどうやら間違っていたようだ。
4月9日に投開票が行われた神奈川県知事選では、現職の黒岩祐治氏が4選を果たした。選挙戦終盤に過去の不倫が報じられたこともあり、ネット上での反応は冷ややかだ。
自民、公明、国民が推薦する無所属の現職・黒岩氏に、無所属の岸牧子氏(共産推薦)、政治女子48党の大津綾香氏、無所属の加藤健一郎氏の3人の新人が挑んだ今回の神奈川県知事選。黒岩氏は193万3753票を獲得し、圧勝となった。
21世紀は「希望の世紀」になるはずだったが、いまや「人類世界が崩壊する時代」ではないかと不安になってきた。
人類史での20世紀は、中国の辛亥革命や第一次世界大戦があった1910年代から、第二次世界大戦を経て、東西冷戦が終わり、EU(欧州連合)が発足した90年頃までである。
2度の世界大戦と東西冷戦で勝利した「自由世界の価値観」が世界を支配し、アジアやアフリカは植民地から独立して経済も発展し、中国やロシアも民主主義に向かうと見えた。
フランス紙「レゼコー」が、エマニュエル・マクロン大統領の驚くべきインタビュー発言を報じた。台湾情勢について、欧州は対立する米中両国のどちらにも「追随」すべきでないとの考えを示したというのだ。マクロン氏は今月、中国に国賓として招かれ、習近平国家主席から異例の厚遇を受けたという。中国共産党政権が経済を武器に、G7(先進7カ国)の切り崩しを進めているとの指摘もある。中国軍は10日も、国産空母「山東」を参加させ台湾周辺で軍事演習を続けた。「台湾有事は日本有事」とされるなか、マクロン氏の発言は「裏切り」のようにも感じる。岸田文雄首相は来月、広島で開催されるG7首脳会議で、「自由」「民主」「人権」「法の支配」という共通の価値観を持つ自由主義陣営の結束を示す必要がありそうだ。
(町田 明広:歴史学者)
幕末がいつから始まったのか、様々な意見が存在する。筆者は、天保期(1830~1844)から始まるものの、目に見える形としては、ペリー来航(1853)であろうと考えている。
その天保期以前から、外国船が日本近海に出没し始めていたが、幕府は特段の対策を見出すことができなかった。また、数々の天変地異(地震・火山噴火・冷害など)による社会不安への対応もままならなかった。これらが積み重なって、幕府の武威(軍事力に裏打ちされた威光)や幕府への信頼は大きく失墜して、幕末期を迎えていたのだ。
この冬、電気料金の高騰にSNSでは悲鳴が上がっていた。暖房をエアコンで行う家庭も増えているが、そうなると電気料金の負担額も大きくならざるを得ない。
SNSを見ていると、中には料金の計算が間違っていると思って電力会社に問い合わせた方もいたようだ。
電気料金には2通りあり、約半数の家庭は規制料金を利用している。2016年の家庭用電気料金自由化以降、変更の手続きをしていない家庭の料金は規制料金のままだ。
その規制料金の値上げを巡る報道が昨年から多く見られるようになった。北海道から沖縄まで、中部電力、関西電力、九州電力を除く大手7電力会社が値上げの申請を行ったからだ。