偕楽園 写真/フォトライブラリー

(町田 明広:歴史学者)

後期水戸学の重要性とは

 幕末がいつから始まったのか、様々な意見が存在する。筆者は、天保期(1830~1844)から始まるものの、目に見える形としては、ペリー来航(1853)であろうと考えている。

 その天保期以前から、外国船が日本近海に出没し始めていたが、幕府は特段の対策を見出すことができなかった。また、数々の天変地異(地震・火山噴火・冷害など)による社会不安への対応もままならなかった。これらが積み重なって、幕府の武威(軍事力に裏打ちされた威光)や幕府への信頼は大きく失墜して、幕末期を迎えていたのだ。

>>続きを読む