対艦ミサイル1発が中国の台湾侵攻阻止
4月13日、ロシア海軍ミサイル巡洋艦「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」に攻撃され、沈没した。
ウクライナはミサイル攻撃を認め、米国国防省も対艦ミサイルが命中したことを確認したという。
だが、ロシア軍は、モスクワにミサイル攻撃されたことを認めず、火災が発生したからだと言った。
4月13日、ロシア海軍ミサイル巡洋艦「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」に攻撃され、沈没した。
ウクライナはミサイル攻撃を認め、米国国防省も対艦ミサイルが命中したことを確認したという。
だが、ロシア軍は、モスクワにミサイル攻撃されたことを認めず、火災が発生したからだと言った。
ロシアによるウクライナの軍事攻撃は当分、止みそうにない。ロシアの戦車が列をなしてウクライナに攻め入る光景は、20世紀の戦闘を彷彿させるものがある。
そうした中、米国は宇宙空間での軍事化を進めるために21世紀型の軍事増強を推し進めている。
というのも、ロシアと中国が米国の運用する多くの人工衛星に対してサイバー攻撃を仕かける能力を持つため、米国は両国に対抗していく軍事力を高める必要があるのだ。
(北村 淳:軍事社会学者)
現在進行中のロシアのウクライナ侵攻の次は、近い将来、中国の台湾侵攻が勃発するのではないかと危惧されている。
しかしウクライナ侵攻と台湾侵攻を短絡的に同一視するのは誤りである。
両者には構造的な共通点も存在するが、侵攻国側の動機はもとより、民族的・宗教的・文化的・政治的・経済的背景などに根ざした戦争原因が大幅に相違している。それだけではなく、ロシアとウクライナは陸続きであり、中国と台湾は陸上国境が存在しない。そうした地形的条件は、侵攻の形態や展開を完全に異にすることを意味している。
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化も懸念されるなか、米国防総省がウクライナ向け軍事支援の詳細を発表した。対空ミサイル「スティンガー」1400基超や対戦車ミサイル「ジャベリン」5000基超に加え、注目されるのが新型兵器の自爆型の戦術無人機(ドローン)「スイッチブレード」数百機だ。米議会では第二次世界大戦中の武器貸与法を復活させるなど、支援に本腰を入れている。
スイッチブレードは、小型モデルが約2・5キログラムと軽量で、米紙ニューヨーク・タイムズは「リュックに入れて持ち運び可能」と紹介する。戦車などに向けて発射すると、目標に当たって爆発することから、「カミカゼドローン」とも呼ばれると報じた。
ウクライナを脱出した難民のうち最多の240万人以上が既にポーランドに入ったが、スラボミール・シェラコウスキー(ワルシャワの高等研究所所長)が、ポーランドで生起しかねない難民危機を、3月21日付のProject Syndicateで論じている。
ロシアのウクライナ侵攻は最大規模の人道危機を作り出した。少なくとも過去30年における欧州で、最速の難民流入が起きている。
1週間のうちに2015年の難民危機の際の1週間の最大流入数の10倍、1999年のコソボ紛争の際の最初の11日間の流入数の2倍に達したという。既に全体で370万人以上が難民として近隣諸国に流入しているが、このまま推移すれば、第二次世界大戦直後の欧州の状況の再現となりかねないらしい。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(69)は12日、同国の「崇高な」目的が達成されるまで、ウクライナ侵攻を続けると宣言した。
プーチン氏はこの日、ロシア東部の宇宙基地を訪れ、同盟国の中でかなり関係が近いベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と会談。その後、珍しく公の場で発言した。
プーチン氏はその中で、和平協議は行き詰まったとの認識を表明。開始から6週間目に入っているウクライナ侵攻は、計画どおり進んでいると述べた。
(フォトグラファー:橋本 昇)
*記事中の画像に一部刺激の強いものがあります。ご注意ください。
ロシアによるウクライナ侵攻のニュースを聞いて、決して忘れる事のない人々の顔が頭に浮かぶ。
30年前の事だ。
1992年4月初め、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボは突然、「敵」に包囲された。敵というのは自国のセルビア人勢力が設立したスルプスカ共和国の軍とその後ろにいるユーゴスラビア人民軍だ。
防衛省統合幕僚監部は14日、ロシア海軍の潜水艦3隻など艦艇計6隻が同日、北海道とロシア・サハリンの間の宗谷海峡を西向きに通過したと発表した。2月に大規模演習のため日本海やオホーツク海南部に滞在した24隻の一部という。
演習に参加した別の10隻は10日夜から11日にかけ、北海道と青森県の間の津軽海峡を日本海側に航行。防衛省は、日本周辺でのロシアの活動に警戒を続けている。
防衛省によると、宗谷海峡を通過した6隻はほかに駆逐艦やミサイル観測支援艦など。海上自衛隊が14日午前0時ごろ、北海道の宗谷岬の南東約130キロを北寄りに進む6隻を発見。その後、宗谷海峡に入った。青森県・大湊基地の護衛艦まきなみが監視に当たった。
ウクライナ国営電力会社ウクルエネルゴは14日、ロシア軍に制圧された北部のチェルノブイリ原発への送電線が、ロシア軍の攻撃で再び損傷したと発表した。ロシア軍が占拠している同国南部にある欧州最大級のザポロジエ原発でも爆発が起きた。ロシアのプーチン大統領は原発を人質に取った「核恫喝(どうかつ)」を、いつまで続けるのか。
チェルノブイリ原発は、ロシア軍のウクライナ侵攻初日の2月24日に軍事制圧され、今月9日に外部電源を喪失した。
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
「プ―チンはウクライナで核兵器を使うのか?」――こんな議論が米国で真剣に交わされるようになった。ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ侵攻に際してロシアの核戦力部隊を臨戦態勢におくという措置を宣言したからである。
米国の専門家たちの間では、今のところ、プーチン大統領の核発言は米欧諸国のウクライナ支援を抑えるための脅しであり、実際に核攻撃をかける可能性は低いという見解が多い。だが一方で、ロシアの近年の核戦略では小規模な戦争で小型の戦術核兵器を実際に使って戦闘を勝利に導くという手段が現実の政策選択肢として確立されており、実際の危険性は高いとする専門家たちも存在する。さらに米国の一般国民の間でも、プーチン大統領の実際の核兵器使用への懸念が高まってきた。
ロシア軍の軍事侵攻に対するウクライナ軍と市民の抵抗が続くなか、ウラジーミル・プーチン大統領の精神状態に注目が集まっている。彼は「正気を失って」戦争を始めたのか。そんな主張は、むしろ「専門家の責任逃れ」のように聞こえる。
かねて親交のあるフランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月7日、クレムリンでプーチン氏と会談した後、「彼は3年前とは別人になってしまった。頑固で孤立している」と側近に語った、と報じられた。
バーンド・デバスマン・ジュニア、BBCニュース、ワシントン
求む:多言語を操る元兵士。1日最大2000ドル(約23万円)とボーナスという高額報酬で、ウクライナに潜入し、深刻化する紛争からの家族らの救出に当たってくれる人。
アクション映画の台本のような話だが、この求人広告は本物だ。民間の軍事・警備業界で働く人のための求人サイト「サイレント・プロフェッショナルズ」からの引用だ。
関係者によれば、需要は高まっている。ウクライナでの痛ましい戦争の中、アメリカとヨーロッパの民間業者は、「救出」任務から後方支援に至るまで、ますます仕事の機会を狙っているとされる。
(篠原拓也:ニッセイ基礎研究所主席研究員)
ロシア軍によるウクライナ侵攻を受けて、欧米をはじめ世界各国で、ロシアに対する制裁の動きが広がっている。
ロシアの要人や銀行の資産凍結、国際的な資金決済網である「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からのロシアの銀行の排除、ロシア航空機に対する自国領空での飛行禁止、ロシア船舶に対する自国港への入港禁止など、さまざまな経済制裁が打ち出されている。
ウクライナに侵攻したロシア軍が、北部チェルノブイリ原子力発電所につづき、南東部の主要施設、ザポリージャ原発を攻撃し、制圧した。ザポリージャ原発は国内の電力の約4分の1を供給しており、抵抗を続けるウクライナ国内の電力網を麻痺させ、戦局を優位に進めようとする目論みがあるとみられる。
ロシア軍がウクライナ国内の原子力発電施設を次々に狙う理由は何か。プーチン大統領らの過去の発言から、もう一つの狙いは、ウクライナの核武装化を食い止めようとする狙いが浮かび上がってきた。ロシア軍はウクライナ全土の原発を標的にしている可能性がある。
ロシア軍は4日、ウクライナ南部にある欧州最大級のザポロジエ原発を砲撃した。見境のない攻撃を命じるプーチン大統領は、核戦力も「特別態勢」として欧米諸国を威嚇するが、脅しにとどまらず、本当に使うことはあるのか。ロシアの軍事・安全保障政策に詳しい東大先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏は「荒唐無稽ではなく、危険な状態だ」と指摘する。
ロシア国防省は2月28日、ショイグ国防相がプーチン氏に対し、ロシア軍の戦略核兵器部隊が戦闘態勢に入ったことを報告したと発表した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は5日、ロシアのウクライナ侵攻を受けて西側諸国が発動した対ロ経済・金融制裁は「宣戦布告のようなもの」だと述べた。「しかしありがたいことに、そこまでには至っていない」とも述べた。ウクライナの大統領が西側に求めているウクライナ領空の飛行禁止区域設定については、そのような行為は武力紛争への参戦とみなされる、当事者は敵性戦闘員とみなされると警告した。
ロシア軍によるウクライナ侵攻が激しさを増している。首都キエフや第2の都市ハリコフなど各地で、非軍事施設への攻撃を強め、子供や女性を含む民間人に多数の死傷者が出ている。残忍非道な大量破壊兵器が使用されたという情報もある。祖国と自由、民主主義を守るため、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、志願者による「外国人義勇兵」の編成を表明したところ、世界各国から2000人以上が応じ、日本の元自衛官ら約70人も手を挙げたという。ただ、日本政府は危険を伴うため参加しないよう求め、在日ウクライナ大使館は異なるかたちでの支援を求めた。
ロシアによるウクライナ侵攻開始から4日目の27日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命令した。西側諸国がロシアに「非友好的な行動」をとったことを理由にしていた。
西側諸国の経済・金融制裁でロシアの通貨ルーブルが急落し、ロシアが国際スポーツの世界からも排除される中、プーチン氏はウクライナ攻撃の目的を達成するため、核兵器を使用するのかどうか、全世界に注目されている。
核保有大国のアメリカとロシアが歴史的に、どのような核の駆け引きを続けてきたか、BBCのロズ・アトキンス司会者が振り返る。
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2022年2月25日付)
ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を追い出した2014年のマイダン(独立広場)革命からまだそれほど経っていない日に、とあるロシア人評論家とモスクワで交わした会話が忘れられない。
彼はまず、クレムリンの標準的な発言をなぞり、ロシアがウクライナを「失った」ことは悲劇だと言った。
だが、これは内緒の話だとしたうえで、もしロシアが「勝って」いたらもっとひどいことになったかもしれない、と付け加えた。
スティーヴ・ローゼンバーグ、BBCニュース(モスクワ)
まず最初に、打ち明けておきたいことがある。私はもう何度も、「まさかプーチンがそんなことをするわけがない」と思ってきた。
「まさかクリミアを併合するなんて。そんなことするわけがない」。そう思ったが、併合した。
「まさかドンバスで戦争を始めるなんて。そんなことするわけがない」。始めた。
「ウクライナの全面侵攻なんてするわけがない」。侵攻した。
「するわけがない」というのは、ウラジーミル・プーチン氏には当てはまらない。そう結論するしかない。
2月4日、中国の習近平主席とロシアのプーチン大統領は北京で首脳会談を行い、中露共同声明を発した。この共同声明には、その長さ(約5000語)と言い、中味と言い、些か驚かされた。
基本的には、双方の文言提案の寄せ集めの感を受けるが、安全保障等重要部分については双方が調整、それぞれの政策を相互に支持し合い、中露連携を強く打ち出している。それは「新たな枢軸」の結成と言っても良い。要注意である。声明の主要点は次の通り。
(1)世界は「新たな時代」に入っている。多極化、経済のグローバル化、情報化、グローバル・ガバナンス制度・秩序の変化、世界のパワー配分の変化(米衰退論が透けて見える)を強調。国連安保理中心のガバナンス、国際法に基づく秩序の擁護を強調。(この部分は中国主導の起案か)。
ロシア軍のウクライナ侵攻は25日も継続している。米国防総省やウクライナ政府によると、ロシア軍は多方向から侵入し、首都キエフや各地の軍事施設を160発以上のミサイルで空爆した。ウクライナ軍兵士40人以上が死亡し、一般市民にも死傷者が出ているとの情報がある。国際秩序を破壊する許しがたい暴挙である。ロシア軍はチェルノブイリ原発を制圧し、キエフ陥落が近いとの報道もある。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「核保有国」であることを強調して恫喝(どうかつ)する。ジョー・バイデン米大統領は「プーチンは侵略者だ」と批判し、西側諸国とともに追加制裁を発表した。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「日本が学ぶべき教訓」に迫った。
ロシア軍がついにウクライナに侵攻した。演習名目で国境付近に大規模な部隊を集結させたうえで、機を伺って侵攻する手法は1941年7月に日本陸軍が満州で行った「関東軍特種演習(関特演=かんとくえん)」を思い起こさせる。ただ、関特演は対ソ戦をにらんでいたものの、開戦には至らなかったことが単なるデジャブではない点だ。とはいえ関特演は日本の南方進出に結びつき、大東亜戦争に至っている。「歴史は繰り返す」というが、ロシアのウクライナ侵攻は大規模な戦争に発展していくのか。またロシア軍が21世紀の戦争でどのような戦い方をするのか、わが国にとって対岸の火事ではない。 ロシアは2月21日にウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立を承認し、24日にウクライナに侵攻を開始した。ロシア軍はすでに臨戦態勢にあったにも関わらず、中国との関係を考え同20日の北京冬季五輪閉幕を待っていたと考えられる。
北京で冬季五輪が閉幕した翌21日、世界が一気に緊張に包まれた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナ東部の親ロシア勢力が自称する「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の〝独立〟なるものを承認し、両地域へ「平和維持」の目的でロシア軍を派遣すると命じたからである。
米国のジョー・バイデン大統領は、ロシアによる〝独立承認〟を「国際法への明白な違反」と非難。西側諸国が続々とロシアへの経済制裁を発表したが、何とも迫力不足だ。ロシア側はこの事態に備え、すでに「大量の外貨を準備済み」ともいわれている。日本時間の23日午前にも、バイデン氏は新たな制裁発動を表明したが、残念ながら「後の祭り」感だけが強い。
ロシアがウクライナに侵攻したが、欧米諸国は2月24日に打ち出した第2弾の制裁においても、ロシアに深刻な打撃を与える世界の金融機関の国際取引の決済システム、スイフト(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication SCRL)からのロシアの締め出しを行うことができずにいる。
第2弾の制裁になぜスイフトの制裁が含まれていないか問われた米バイデン大統領は、「オプションとしてはあるが、現在の制裁でも十分な効果があり、現時点では全欧州がスイフトからの締め出しを望んではいない」と答えている。
理由は簡単だ。欧米金融機関がロシアに持つ債権の回収が困難になることに加え、決済システムの利用を阻むと欧州連合(EU)諸国はロシアから、天然ガス、原油、石炭の輸入を行えなくなるからだ。