アフガニスタンの破滅的混乱を目の当たりにしたが、日本では同様のことは起こらないと思っていないだろうか。
日本とは体制が異なる国家で、テレビ画像の中で見る遠い世界のことであり、日本では、あのようなことは絶対に生起しない他人事だと思っている人々がほとんどであろう。
しかし、日本と関わりが薄いということはない。
アフガンの混乱に似たことが、日本のすぐ近くの朝鮮半島でも起きるのではないか。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領率いる韓国が、日本の自民党総裁選(17日告示、29日投開票)に強い関心を寄せている。岸田文雄前政調会長と、高市早苗前総務相、河野太郎行革担当相が激しく競い合っているが、誰が新総裁(日本の新首相)になるかで、日韓関係が激変するとみているからだ。韓国メディアの報道からは、保守派の高市氏を警戒する一方、慰安婦問題の「河野談話」(1993年)を発表した河野洋平元衆院議長を父に持つ河野氏に期待しているという。「親韓派」として評価される石破茂元幹事長が河野氏を支援し、「河野-石破連合」が始動すれば、隣国の期待値は最高潮に盛り上がりそうだ。ジャーナリストの室谷克実氏が最新情報を報告する。
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韓国メディアの報道を見れば、「期待される日本の新首相」は、(1)石破氏(2)河野氏(3)岸田氏の順だ。石破氏は出馬しない、いや出馬できずに、15日の石破派総会で「断念」を表明するという。それなのに韓国では、朝日新聞の世論調査などがピックアップ材料にされることで、ギリギリの段階まで「親韓派の石破氏」などと期待値ナンバーワンだった。
新型コロナウイルスの新規感染者数が減り続けている。「五輪で気が緩む」「人出が減らない」「デルタ株でワクチンの効果が減少する」など懸念材料が山積し、9月には感染者が激増するという試算もあったが、現状は真逆の結果だ。果たして何が効いたのか。
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東京都の14日の新規感染者は1004人で、前週の同じ曜日を23日連続で下回った。8月13日の5773人から約1カ月で5分の1以下の水準となった。緊急事態宣言が延長された他の道府県も8月下旬以降、減少傾向をたどっている。
感染第5波については「ピークがみえない」という声が多かった。東京五輪・パラリンピックは無観客で開催されたが「気の緩みを招く」と悪者にされた。
自民党総裁選は、岸田文雄前政調会長と、高市早苗前総務相、河野太郎行革担当相を軸に争う構図が固まりつつある。河野氏としては、石破茂元幹事長や小泉進次郎環境相ら人気者の支持を得て、決選投票に持ち込ませず地方票の比重が高い1回目の投票で勝負を決する戦略だ。岸田氏は最初に出馬表明して先行しているが、保守派で切れ味鋭い高市氏が猛烈に追い上げている。
「突破力は政界の中でも群を抜いている。総理になれば、日本も自民党も変わる」「抵抗勢力や既得権益と闘っているから攻撃もされる」
進次郎氏は14日、地元・神奈川県横須賀市で記者会見し、総裁選での「河野支持」をこう表明した。
2021年の農林水産物・食品の年間輸出額が初めて、1兆円を突破する見込みとなった。上半期(1~6月)の輸出額が過去最高となり、もともと19年に達成すると掲げた目標の2年遅れの到達見込みを歓迎する報道が目立つ。が、そもそもこの目標設定に意味はあるのか。上半期の輸出額の40%は、アルコール飲料やソース調味料をはじめとする加工食品だ。目標の達成が農林水産業の振興には直結しない実態がある。
「農林水産物・食品の輸出額」は、農林水産省が毎年発表するもので、8月3日、上半期は前年同期比30.8%増の5407億円になったと発表された。それを受けて、この輸出額がまるで農林水産業の振興の度合いを示す指標であるかのように報道されている。
「今年上期の農産物輸出額は過去最高 年1兆円視野に」(朝日新聞、8月4日)
「農産物輸出、最高の5000億円超 1~6月、牛肉や清酒好調」(共同通信、8月3日)
「農水産物輸出 ニーズ捉えて拡大加速したい」(読売新聞、8月24日)
いずれも農産物あるいは農林水産物の輸出額であるかのような見だしだ。記者発表や公表資料は、農林水産物の輸出増加を強調していて、農産物を例に取ると、牛肉(223億円、前年同期比119.3%増)や日本酒(174億円、同91.7%増)、コメ(27億円、同1.3%増)などの伸びが説明されている。