ロシアによる侵略に対するウクライナの兵站は、米国が旧西側諸国と連携して支えてきている。しかしここに来て、米国内では、自国の弾薬等の備蓄を鑑み、ウクライナの作戦支援、ひいては台湾の防衛力整備支援を懸念する声が高まってきている。
この状況は、ウクライナや台湾のリスクであり、ひいては米国の同盟国であるわが国に対する警鐘ともいえる。本稿は、陸上部隊の弾薬備蓄や供給体制を見た上で、わが国の防衛全体に拡大した弾薬等の調達基盤を検討するものである。
顕在化した米国による弾薬等供給の不安定性
戦略国際問題研究所(CSIS)国際安全保障プログラム上級顧問のマーク・カンシアン氏は、「米国在庫の再構築」(「米国在庫の再構築: 6 つの重要なシステム」(CSIS 2023.1.9))の中で、ウクライナ支援の米国防衛備蓄への影響について懸念する状況を指摘している (2023.1.9)。