(花園 祐:中国・上海在住ジャーナリスト)
開戦から丸1年が経過したロシアとウクライナの戦争は、現在も終息する兆しが見えません。両軍ともに世界各国へ自国への支持を訴えつつ戦闘を継続する姿勢を継続しています。
現在、日本や米国を含む西欧諸国はウクライナ側を支持し、軍事兵器の供与など様々な支援を行っています。一方、中国やイランなど伝統的な反米国はロシアを支持する立場を取っています。また、インドは中立的な立場を取るなど各国で異なる姿勢が見られます。
米新興企業「オープンAI」が運営する「Chat(チャット)GPT」について、中国科学技術相の王志剛氏は3月上旬の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、「このような大規模な言語モデルは、しばしば予測できない、あるいは不正確な応答をもたらす」との懸念を表明。「当面は様子見をしなければならない」と述べて、チャットGPTの使用を制限する方針を明確にした。中国政府高官がチャットGPTについて言及したのは初めて。
これを受けて、米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」がチャットGPTで、「天安門事件」や「ウイグル問題」「ダライ・ラマ14世」といったいわゆる「敏感」な政治外交用語を検索した。
(花園 祐:中国・上海在住ジャーナリスト)
開戦から丸1年が経過したロシアとウクライナの戦争は、現在も終息する兆しが見えません。両軍ともに世界各国へ自国への支持を訴えつつ戦闘を継続する姿勢を継続しています。
現在、日本や米国を含む西欧諸国はウクライナ側を支持し、軍事兵器の供与など様々な支援を行っています。一方、中国やイランなど伝統的な反米国はロシアを支持する立場を取っています。また、インドは中立的な立場を取るなど各国で異なる姿勢が見られます。
米国では最近、台湾有事ともからめ、中国が混迷化する「ウクライナ戦争」から何を学んだかについての論議が活発化しつつある。
ロシア軍のウクライナ侵略から1年――。戦争が長期化する中で、バイデン政権にとっての直近の最大関心事は、中国が対露軍事支援に踏み切るかどうかに集まっている。
しかしそれとは別に、中国は今次戦争そのものをどう見てきたかの論議も無視できない。
【北京=三塚聖平】中国の立法機関、第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が5日、北京の人民大会堂で開幕し、中国政府は同日公表した2023年の予算案に国防費として前年比7・2%増の1兆5537億元(約31兆円)を計上した。
昨年の国防予算は7・1%増の1兆4504億5000万元だった。伸び率、予算額ともに拡大しており、習近平政権が掲げる「強軍」路線の継続が示された形だ。
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[>]日本は5兆円ですったもんだの大騒ぎ
(福島 香織:ジャーナリスト)
2月28日、中国共産党の第20期中央委員会第2回全体会議(2中全会)が閉幕し、コミュニケ(公式声明書)が発表された。
この2中全会で、両会(3月4日に開幕する全国政治協商会議=全国政協および3月5日に開幕する全国人民代表大会=全人代)で提出される人事と「党と国家の機構改革方案」などが採択された(両会は“ゴム印国会”のようなものなので、2中全会で採択されたことはすでに決定事項といえる)。
2月8日の発売以降、大反響の『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)。外交課題が山積するなかで、最近では中国の“偵察気球”が問題となった。生前の安倍氏は、中国の習近平・国家主席とどういった人間関係を築いてきたのか。
安倍氏は西側首脳の中で中国の習近平・国家主席という人物を最も長く観察してきた政治家でもある。
テッサ・ウォン、グレイス・ツォイ、BBCニュース(シンガポール)
中国共産党の政治局常務委員会は16日、新型コロナウイルスのパンデミックで勝利を収めたと宣言した。「ゼロコロナ」政策に終止符を打った、昨年11月の画期的な抗議デモの記憶はすでに薄れつつある。
しかし、中国が大幅に方針転換して動き出す中、政府に異議を唱える人々への弾圧がひっそりと強化されている。デモ参加者の多くは、当局に連れ去られて行方不明になっている。
(福島 香織:ジャーナリスト)
中国人女性企業家の張さん(34歳)が沖縄の無人島を買ったという。沖縄本島・那覇北部の無人島、屋那覇島(やなはじま)である。
その島に上陸した張さんの動画が、1月30~31日にTikTokにアップされた。
「うしろにある70万平方メートルの小島、私が2020年に買った小島よ」
「徒歩4時間で一周できるの」
中国経済は「悪性スパイラル」に陥没した。何しろ、GDP(国内総生産)の約30%を占めた不動産がさっぱりで、大手デベロッパーの倒産が続いている。
中国の地方政府が背負う借金は約7兆ドル(約930兆円)とされる。日本のGDPの1・7倍! 例えば、貴州省の遵義道橋建設集団は昨年末、銀行融資の返済を20年間延長してもらった。
地方政府の融資平台(LGFV)は、当該地方のインフラ建設のためのプロジェクト資金として起債され、利率は8~12%である。高い金利の魅力にひかれて相当消化されたようだ。
(福島 香織:ジャーナリスト)
3年前、日本の仙台上空に現れた謎の気球と同じような気球が、2月初旬、米国モンタナ州上空で確認され、米国はこれを中国の「偵察気球」であると断定したうえで、戦闘機で撃墜し、その残骸を回収した。
この気球は一体何だったのか。すでに一部残骸が回収された段階で、ワシントン・ポストは米官僚筋からの特ダネとして、この気球が中国解放軍の気球を使った大規模空中監視コントロール計画の一部であり、出発地点が海南省で、かつて五大陸上空に現れたこと、アジアにおいては日本、インド、ベトナム、台湾、フィリピンなど中国の戦略的利益が絡む地域に対する監視コントロールに利用されたことなどが判明していると報じていた。
(馬 克我:日本在住中国人ライター)
中国における白紙運動はすぐさま収束したようであるが、人の心は、掲げていた白い紙を下ろしても簡単に変わるものではない。白紙運動は、天安門事件以来、唯一、中国全土で政治的スローガンが叫ばれる抗議運動となった。
中国人は一体どのように白紙運動に参加し、この抗議運動をどう見たのか。白紙運動で浮き彫りになった注目すべき点とは。昨年(2022年)11月27日に成都で起きた白紙運動に参加した友人の中国人(以下、Aさん)にインタビューを行った。Aさんは30代後半の男性で成都出身、既婚者であり中小企業経営者である。
(福島 香織:ジャーナリスト)
世界一の人口大国で、ついに人口減少が始まった。
1月17日に行われた中国国家統計局の記者会見で発表されたデータによると、2022年末の中国の全人口は14億1175万人で、前年末より85万人減少した(香港、マカオを除く)。出生人口は956万人で、72年ぶりに1000万人を切ってしまった。人口出生率(人口1000人あたりの出生率)は6.8パーミル(‰)。死亡人口は1041万人で死亡率は7.4パーミル。人口自然成長率はマイナス0.6パーミルである。
日本周辺で、中国軍が軍事活動を活発化させている。沖縄周辺に展開する空母「遼寧」は戦闘機などの訓練を繰り返し、17日以降、計130回もの発着艦が確認された。日本政府が16日、中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記した「安保3文書」を閣議決定して以降、中国軍の動きは異様というしかない。政府関係者は「日本を念頭にした示威行動だろう」と指摘している。
(福島 香織:ジャーナリスト)
習近平が12月1日を境にはっきりとゼロコロナ政策を撤回し、コロナ「躺平主義」(寝そべり主義=放置)に転じた。すると、北京を中心に新型コロナ感染が一気にアウトブレイク(感染拡大)した。
PCR検査をしなくなったので、感染者の数は分からない。また死者の数も、「肺炎、呼吸器疾患のみを新型コロナ感染による死者とする。血栓や心筋梗塞、脳梗塞、あるいは基礎疾患がある患者に関しては、コロナ感染による死亡例としてカウントしない」という独自の定義では12月19日に7人で、その前の6日間はゼロが続いている。
3期目に突入したばかりの中国の習近平政権だが、「ゼロコロナ」政策とその解除をめぐって混乱が続いている。社会不安や経済不安のなか、「上海閥」を作った江沢民元国家主席は96歳で死去したが、「反習派」はうごめいているという。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、「中国の情勢は切迫しており、政権の基盤が揺らいでいる」と指摘する。
習氏は共産党大会を乗り切ったものの、各地での「白紙運動」を許してしまったことは、政権のもろさの象徴だといえる。習氏の独裁に見える体制の中に、「反習派」が相当数存在すると考えるべきであろう。
言論弾圧が日常の中国で、大規模な反政府デモが続発している。天安門事件以来とされる大陸全土での民衆の抗議活動はなぜ起きたのか。
真っ白な紙を持つ数百人の民衆が大声をあげる。
「独裁はいらない!」<br />
「共産党退陣!」
すると、最初は遠巻きに見ていた市民が一人、また一人と抗議の列に加わっていく。
(英エコノミスト誌 2022年12月3日号)
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猛威を振るう感染症と不人気で高コストなロックダウンの板挟みになり、習近平国家主席には良い打開策がない。
新型コロナウイルス感染症の流行に際してロックダウン(都市封鎖)という対応策を生み出したのは中国だった。
きっかけは一件の火事だった。
中国内陸部・新疆ウイグル自治区ウルムチ市内のアパートで11月24日、火の手が上がり、10人が焼死した。アパート付近が新型コロナウイルス対策で封鎖され、消防車が近づけずに被害が広がった、との指摘が相次いだ。
地元当局は否定したものの、政府の行き過ぎた「ゼロコロナ政策」に抗議するデモが、上海を皮切りに、北京や武漢、広州、重慶、成都など、少なくとも20都市に拡大している。
去る11月24日、中国新疆ウイグル自治区のウルムチ市で起こったマンション火災が、ロックダウンの影響で消防隊の出遅れを招き、公式見解では10人、ネット上の情報では44人の犠牲者が発生した。以来、中国全土で瞬く間に、過酷な「動態清零(ダイナミック・ゼロコロナ)に対する抗議運動が湧き上がり、一部の参加者はさらに自由を叫び習近平氏と共産党体制を公然と否定する声を上げるなど、1989年の民主化運動以来の事態となっている。
今般の運動を最も特徴づけているのは、A4サイズの白紙である。何も書かれていないように見えて、現在の防疫や体制のあり方そのものに対し異議を申し立て、そこに字を書き込み主張する権利=言論の自由を求めていることは明らかである。
しかし中には、具体的な主張が記されているものもある。とりわけ筆者としては「私は外部勢力(境外勢力)ではない。中国公民だ」という文言に注目したい。何故なら、この「外部勢力」という言葉は、去る11月30日に死去した江沢民・元中国共産党(以下、中共)総書記兼中国国家主席の時代以来、中国社会がなぜ一時繁栄し、しかし行き詰まっていったのかを考える上での重要な鍵だからである。
「7つの海」の覇権を握る米海軍に伍そうと中国海軍は2000年代に入ってから軍艦の建造を加速させている。
この動きにさしものアメリカも危機感を募らせ、2020年に出されたペンタゴン(米国防総省)の年次報告書『中国軍事力レポート』で、「中国共産党100周年の2049年までに軍事力でアメリカと肩を並べる」と初めて言及した。中国海軍についても「2020年代前半に水上艦艇・潜水艦が350隻に達し米海軍をすでに追い抜き隻数で世界最大になった」と警鐘を鳴らした。
(馬 克我:日本在住中国人ライター)
11月24日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の高層集合住宅で火災が発生した。消防車が駆け付けたが、居住区に停められた乗用車によって行く手を阻まれた。
当時、ウルムチを含む新疆ウイグル自治区では100日以上にわたりロックダウンが続いており、居住区の乗用車は長期間起動されていなかった。そのためバッテリーが上がり、エンジンがかからなくなっていたのだ。