去る11月24日、中国新疆ウイグル自治区のウルムチ市で起こったマンション火災が、ロックダウンの影響で消防隊の出遅れを招き、公式見解では10人、ネット上の情報では44人の犠牲者が発生した。以来、中国全土で瞬く間に、過酷な「動態清零(ダイナミック・ゼロコロナ)に対する抗議運動が湧き上がり、一部の参加者はさらに自由を叫び習近平氏と共産党体制を公然と否定する声を上げるなど、1989年の民主化運動以来の事態となっている。

 今般の運動を最も特徴づけているのは、A4サイズの白紙である。何も書かれていないように見えて、現在の防疫や体制のあり方そのものに対し異議を申し立て、そこに字を書き込み主張する権利=言論の自由を求めていることは明らかである。

「江沢民時代」は習近平政権へとつながっている(AP/アフロ)

 しかし中には、具体的な主張が記されているものもある。とりわけ筆者としては「私は外部勢力(境外勢力)ではない。中国公民だ」という文言に注目したい。何故なら、この「外部勢力」という言葉は、去る11月30日に死去した江沢民・元中国共産党(以下、中共)総書記兼中国国家主席の時代以来、中国社会がなぜ一時繁栄し、しかし行き詰まっていったのかを考える上での重要な鍵だからである。

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