石垣山城 撮影/西股 総生(以下同)

(歴史ライター:西股 総生)

関東地方で最初に築かれた本格的な近世城郭

 豊臣秀吉が小田原城を攻めるために築いた石垣山城は、またの名を一夜城とも言い、関東地方で最初に築かれた本格的な近世城郭として知られている。高石垣や天守を備えた城ということだ。

 通説では、この城を秀吉は80日間の突貫工事で完成させると同時に、まわりの木を一気に切り倒した。小田原城内からこの様子を見た北条方は、一夜にして立派な城ができあがったのかと肝をつぶし、戦意を失ってしまった……というように語られてきた。そして、これまで多くの歴史家が、石垣山城は秀吉の力を敵に見せつけるための城だった、と評価してきた。

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