20万年前に誕生し、家族単位の小さな集団を作って狩猟採集生活をしていた人類は、1万年前に農業を始めることで定住生活に入った。農業に最も必要なものは優良な種子である。小麦は西アジア、コメは中国南部、トウモロコシはメキシコに自生していた野生植物の中から、食用部分が大きく病気に強いなどの優秀な性質をもつ植物を選別することで農作物にしたものだ。

 この「育種」は現在も続いているが、コメの新品種を作るのに最低7~8年かかると言われるように非常に長い時間がかかる。しかも時間をかけても必ずしも優秀な作物ができるとは限らない。

遺伝子組み換えへの「反対」は根強い(AP/アフロ)

 この問題を解決したのが遺伝子組換え技術(GM)だ。作物の性質は遺伝子が決める。だから優秀な性質を作る遺伝子を別の作物に入れてやれば、短時間で確実に優秀な作物を作ることができる。

 1万年の間、人間が続けた育種に革命が起こったのだ。そして、この技術は実用化され、すでにさまざまな新種の作物が作られている。しかし、GMは農業者に受け入れられている反面、消費者には受け入れられていない。その理由を技術活用の経緯から紐解いてみたい。

 

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