ピーター・ドラッカー(写真:Colin Lizius/Camera Press/アフロ)

(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 ロシア軍のウクライナ侵攻が始まってから間もなく3カ月が過ぎようとしています。ウクライナから見れば、ゼレンスキー大統領は、難局の中で、非常によくやっていると評価してよいでしょう。

 当初はロシアと国境を接する東部地域ばかりか、首都キーウでさえすぐに陥落するとういう見方が大勢を占める中、西側諸国からの兵器供与があったにしても、粘り強く反撃を重ね、キーウ近郊やハルキウ近郊からロシア軍を撤退させるなど、当初予想されていた以上の成果を上げています。

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<以下抜粋>

 翻って、日本の岸田文雄首相はどうでしょうか。批判を恐れずに言わせてもらえば、私は岸田政権の「理由なき」支持率の高さを見るにつけ、日本社会の将来への不安を禁じ得ません。

 岸田政権が発足しておよそ半年が過ぎました。前任の菅義偉前首相は、ワクチン接種を猛烈な勢いで進めたり、不妊治療の保険適用をしたり、携帯電話の料金値下げを実現したりとさまざまな改革を矢継ぎ早に進めました。その点からすれば極めて強いリーダーシップ(始動力)を発揮したと言えますが、発足から3カ月ほどたった頃からどんどん支持率が下がりだしました。

 菅政権の後を受けた岸田政権では、前政権時から議論されてきた経済安保法制や子ども家庭庁などの動きはありますが、あらたな「改革」と呼べるようなものは具体的には現状では何一つなされていないのに、なぜか支持率は高止まりしています。コロナの感染状況と支持率が連動すると少し前には言われていましたが、最近はあまり関係がないようです。ワクチン接種も進んでいない中、菅政権時の河野ワクチン担当大臣と比べて、その手腕が不安視されていた岸田政権のワクチン担当大臣が、うやむやのうちに退任してしまっても高支持率です。