宮城県の牡鹿半島の太平洋沿岸に位置する女川町。ギンザケとサンマの水揚げ量が全国でもトップクラスのこの町には、日本有数の漁港の一つである「女川漁港」がある。

 まだ日が昇る気配すらない1月20日午前5時──。寝静まった女川漁港には2隻の船が横付けされていた。港を煌々と照らしていたライトが消灯すると、エンジンが轟音を響かせる。小誌記者が乗り込んだ「第28清水丸」と「第62清水丸」は白い水飛沫をあげながら、漆黒の海に向かって動き出した。

 同船団の漁法は日本の沿岸漁業の代名詞ともいえる「定置網漁」だ。魚群を探して漁に出る他の漁法とは異なり、文字通り海中の定まった場所に箱網を置き、回遊する魚群を誘い込む。

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