8月26日、米国は南シナ海で人工島や施設の建設に関与してきた中国交通建設など24企業に対する輸出規制や役員の米入国の規制などの制裁措置を発表した。商務省の「エンティティ・リスト」にこれら24企業を追加し、米国製品の輸出を事実上禁止する措置である。これに関して、8月26日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙の社説は、米国政府の今回の制裁を評価している。

PenWin / PeterHermesFurian / iStock / Getty Images Plus

 制裁措置は、直接の効果は別として、中国の南シナ海政策のコストを引き上げるとともに、東南アジアの国々のこれら問題企業に対する姿勢を一層慎重にさせるだろうと述べている。なお、中国交通建設は、国有資本による従属会社で、関係企業は港湾、河川、道路、橋梁、鉄道、浚渫などの交通インフラの建設や設計、港湾向けの大型機械の製造などを行っている。同企業は「一帯一路」の活動もしているのであろう。

 今回の米国の措置は、大きな直接効果があるかどうかは分からないが、評価される。最近、米国は中国による南シナ海軍事化に対する反対を強めている。7月13日は、中国の南シナ海での九段線等の領有権主張等を非合法とした2016年7月12日のハーグ仲裁裁判所の判決の4周年に当たる日の翌日だったが、この日、ポンペオ国務長官は、声明を発出し、「中国が南シナ海を自らの海洋帝国として扱うことを世界は認めない」と述べるとともに、仲裁裁判所の判決に「米国の立場を一致させる」と述べ、中国の主張は「全面的に非合法」と、それを否定した。また米国は、英国や豪州など関係諸国と協力して、南シナ海で「航行の自由作戦」を強化している。8月26日にも米国は南シナ海へ偵察機R132を飛来させた。なお、7月のポンペオ声明は歓迎されるが、もっと早期に明確にすべきだったという意見もある。

>>続きを読む