【山崎直子 (Naoko Yamazaki)】  ​
宇宙飛行士。1970年、千葉県松戸市生まれ。東京大学工学部航空学科卒業。同大学院航空宇宙工学専攻修士課程を修了後、宇宙開発事業団(現JAXA)に勤務。2010年4月、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗し、宇宙へ。15日間の国際宇宙ステーション組立・補給ミッションに参加し、帰還。現在は、内閣府宇宙政策委員会委員、一般社団法人スペースポートジャパン代表理事等を務める。
(写真=WATARU SATO)

 私がスペースシャトル「ディスカバリー」号で宇宙に行ったのは、今からちょうど10年前の2010年4月のことでした。国際宇宙ステーション(以下、ISS)ではロボットアームを使ったミッションも行い、地球に戻ったのは15日後。目の回るような忙しさでしたが、その最中にISSから見た地球の姿は素晴らしいものでした。

 宇宙から見る地球は、実に様々な表情を見せてくれます。昼間は自然の力強さを感じさせ、まるで地球が一つの生命体のように感じられます。そして、夜になると今度は真っ暗な地上の所々に街の灯りが広がり、人間の生み出した文明の力を実感します。

 何より印象的だったのは、地球を覆う大気の薄さが儚さを感じさせることでした。例えば、日の出のとき、ほんの数秒だけその空気の層が光に照らされ、まだ真っ暗な地球と宇宙の境目が細く浮かび上がる瞬間があるんです。その光景はあまりに儚く、私たちの暮らす地球が、どれだけ微妙なバランスによって成り立っている惑星であるかを実感させられるものがありました。

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