7月に閣議決定された「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」では、デジタル・ガバメントの構築を「一丁目一番地の最優先政策課題」と位置付け、行政の電子化を重点におくことを宣言した。しかし、政府のIT戦略で行政の電子化を重点に設定するのは、これがはじめてではない。

行政の電子化が進んでいないことによって、新型コロナウイルス対策の特別定額給付金を迅速に給付することすらできないことが浮き彫りとなった (JIJI)

 例えば2000年、政府はe-Japan戦略を策定し、「申請手続きの電子化」を重点項目にしていた。06年に打ち出したIT新改革戦略では「世界一便利で効率的な電子行政」として、10年までに様々な行政手続きのワンストップ(一度の手続きで多様なサービスが受けられる環境)の実現が目標に掲げられた。

 13年に閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言ではまたしても公共サービスがワンストップで享受できるIT利活用社会を20年までに実現することが目標に設定された。

 しかし、新型コロナ対策で行われた国民1人あたり10万円の特別定額給付金の支給におけるトラブルをみると、ワンストップどころか、e-Japan戦略の目標だった単純な申請手続きですら、電子化が進んでいないことが浮き彫りになった。

 定額給付金の申請では郵送に加えて、オンライン申請も受け付けたが、申請内容の審査作業を人の目で行う必要があり、時間がかかるなどの業務上の問題が露呈し、100以上の自治体がオンラインでの受け付けを停止したと報道された。

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