スリランカでは8月5日に総選挙が行われた。この総選挙は、誰が勝つかではなく、ラージャパクサ政権の与党がどこまで勝つかが注目されていた。結果は、ラージャパクサ家の長であるマヒンダ・ラージャパクサ首相(元大統領)率いるSLPP(スリランカ人民戦線)が地滑り的勝利を収め、225議席のうち145議席を獲得した。これに4つの小党を取り込んで150議席、すなわち憲法改正に必要な3分の2の多数を獲得した。

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 ラージャパクサ一族は、2015年の大統領選でマヒンダがマイトリーパーラ・シリセーナに敗れた後、2019年までの5年間野にあったが、昨年11月の大統領選挙ではマヒンダの弟であるゴトバヤ・ラージャパクサが当選し、首相にはマヒンダを任命した。そして、今回の議会選挙の勝利をもって議会をも制圧し、華々しく返り咲きを果たしたことになる。

 スリランカの政界はウィクラマシンハ前首相率いるUNP(統一国民党)と1951年にバンダラナイケが創設したSLFP(スリランカ自由党)が二大政党であったが、選挙の直前に至り、UNPは大量の離反者を出し、選挙では1議席の惨敗を喫しほぼ消滅した。ウィクラマシンハ自身も地元コロンボで議席を失った。他方、SLFPは大方ラージャパクサのSLPPに吸収されるに至っている。スリランカの政治地図は大きく塗り替わった。野党といえば、UNPから飛び出したサジット・プレマダサ率いるSJB(United National Power)が54議席を獲得して最大野党として登場した。

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