今年の初めから始まった米国の大統領選挙であるが、新型コロナウィルスの感染拡大でそれどころではないという雰囲気も一時あったが、ここにきて、民主党の党大会がオンラインで開催され、正式にカマラ・ハリスが黒人女性初の副大統領候補に決定され、いよいよ11月の投開票に向け、大統領選挙の論戦が本格化することになった。論戦の主な議題は、経済、人種問題、新型コロナウィルス対策等、国内の諸問題に集中するだろうが、それでも、外交問題を無視するわけには行かない。二国間問題で最も注視されるのは、現在進行形の米中対立である。

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 8月14日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、社説で、米中の戦略的競争において、台湾が中心的課題であり、向こう4年以内に事態が緊張する可能性があるとして、両大統領候補に台湾への対応について具体的に説明することを求めている。

 米国の次期大統領が直面する最大の安全保障上の課題は、経済、技術、外交、軍事で米国の優位性を脅かすまでに台頭し、国際社会の秩序と制度を一方的に自国に有利な形で再構築しようと試みる、中国に対する政策である。この意味で、中国が英国との合意を無視する形で自由と民主主義を踏みにじってコントロール下に置こうとする香港を台湾の明日の姿になぞり、次期大統領候補に台湾への対応、換言すれば対中政策を明示するように、両大統領候補に迫る意味がある社説である。

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