大学の教職課程はどこへ向かうのか。

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 前回の記事では、教職課程のコアカリキュラムは、2000年代以降、折に触れてその必要性が主張されてきたものではあるが、その内実が、教職課程のカリキュラムの「モデル」「参考とすべき指針」ではなく、突如として、課程認定の審査基準にもなる形で「国家基準」化されたのは、まさに今回の教職課程の再課程認定においてであることを指摘した。

 そうした「国家基準」化の問題点がどこにあり、今後の大学における教員養成にどのような影響を及ぼすのかについて考えてみたい。

はじめの一歩でしかない・・・

 まず、確認しておかなくてはいけないが、今回の再課程認定において提示された「教職課程コアカリキュラム」は、教職課程における「教職に関する科目*」に関してのみである。

 ただし、そうなった理由は、文科省の側で「国家基準」化に対する躊躇が働いたためというよりは、「教科に関する科目」が、学校種の違いや教科の数を想像すれば容易に分かるように、あまりに多岐にわたるからである。率直に言ってしまえば、すでに存在する「英語教育コアカリキュラム」(文科省の委託事業として、東京学芸大学が2015~16年度に作成)を除けば、作成が間に合わなかったと考えたほうがよい。

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