【舞の海の相撲俵論】年の瀬に故郷を思う [3)ライフ]
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2016.12.22 07:49
【舞の海の相撲俵論】年の瀬に故郷を思う
目の前にあったのは現金200万円ほどだったろうか。
新入幕から2場所続けて技能賞を頂き、まとまった額が手に入った。部屋に1人こもって、札束を見つめながら考えた。これから夜の街へ繰り出して豪遊しようか、それとも大学の学費のために借りた奨学金を一気に返してしまおうか、と。
このまま考えていると日が暮れてくる。夜のネオンがちらついてきた。時間がたつと気が変わるかもしれないと思い、タクシーに飛び乗って返済へ向かった。
そのとき頭によぎったのは、婦人服店を営んでいた両親の顔。年末はきまって問屋への支払いや、銀行への返済がある。あるときは銀行が閉店する午後3時に間に合わず、出払った担当者を車で追いかけてその日のうちにお金を手渡した。そんな姿を幼少期に何度も見てきた。
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