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和気清麻呂はいないのか 10月28日

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2016.10.28 05:03

【産経抄】和気清麻呂はいないのか 10月28日

 レーガン米大統領の政策は、ナンシー夫人の信奉していた占星術師の影響を強く受けていた。レーガン政権の首席補佐官が、1988年に出した回想録で内幕を暴露すると、米国内は騒然となる。

 ▼ナンシー夫人は大統領の重要な日程までも、占星術師と電話で相談してから、補佐官たちに指示していた。孤独に苛(さいな)まれる権力者は、占いに限らず心の支えを求めるものらしい。

 ▼韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が頼ったのは、古くからの女性の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏だった。父親の朴正煕(チョンヒ)大統領が暗殺されたとき、崔氏の父親が力を貸してくれ、娘の順実氏とも親しくなった。だからといって、機密資料の提供が許されるわけがない。南北軍事当局の接触や竹島、慰安婦問題など日韓関係に関わるものも含まれている。

 ▼崔氏が重要政策や政府高官の人事に関わってきたとすれば、朴政権の統治の正統性さえ問われる事態である。崔氏が私物化しているとされる財団での資金流用や、崔氏の娘が名門大学に不正入学した疑惑まで持ち上がっている。

 ▼奈良時代の女帝、称徳天皇は、天涯孤独の境遇だった。僧・道鏡に魅了されたのは、亡父の姿と重なったからだといわれる。天皇の寵愛(ちょうあい)を受けた道鏡は、宇佐八幡宮の神託だとして、あろうことか皇位につこうとする。「無道の人(道鏡を指す)は、よろしく早く掃き除くべし」。改めて宇佐に派遣された和気清麻呂は、逆の神託を得て道鏡の野望を砕いた。

 ▼清麻呂は左遷されながらも、皇統の断絶という日本最大の危機を救った。残念ながら、朴大統領の近くには、「無道の人」しかいなかった。というより、高潔で有為な人物を寄せ付けない、大統領自身のかたくなさこそが、一番の問題かもしれない。

 


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