藤野野外環境彫刻の代表作「緑のラブレター」(写真提供:相模原市)

 人口減の象徴ともいえる中山間地域(日本の国土の7割)で、異例ともいえる2年連続転入増加(社会増)となっている地区がある。政令指定都市・相模原市緑区の藤野地区である。神奈川県の最北西部に位置し、500m~1000m級の山々に囲まれ、相模湖に面した自然豊かな地に約7900人が暮らす。まちのキーワードは、戦時中の疎開画家の時代から延々と続く「アート」。移住人気の背景を探った。

2年連続で人口の社会増となった希有な町「藤野」

 藤野といってもピンとこない人が多いと思うが、中央道から見える山腹のオブジェ「緑のラブレター」の存在はご存じの方が多いのではないか。1989年に造形作家の高橋政行氏が制作したもので、自然から人に向けた愛のメッセージだ。藤野の道路沿いにはこうした野外環境彫刻が28体現存している。

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