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ウォール街を中心に「米国経済はリセッション(景気後退)入りしない」との楽観論が広がっている。
だが、米国経済は決して盤石ではない。個人消費に陰りが見え、貯蓄は減り借金が増えている。格差拡大と異常気象が貧困層を直撃中だ。
低所得者の不満はマグマのようにたまり、政治の機能不全を助長し経済の足を引っ張りかねない。
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
9月1日に公表された8月の雇用統計に市場関係者は色めき立った。非農業部門の就業者数は前月に比べて18万7000人増加したものの、「過熱状態にあった雇用の勢いは鈍っている」と評価したためだ。「雇用市場が正常化したことで物価高の圧力となっていた賃金の上昇が収まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが終了する」との期待から、株式を始め金融市場は好調さを維持している。
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