毎年この時期になると年中行事のように、核問題に関する話題がメディアを賑わせる。

 特に今年は、ウクライナ戦争で行き詰まったロシアが局面打開を狙って戦術核兵器を使う可能性が懸念されており、世界的に不安が高まっている。

 こうした不穏な状況の中で、5月に被爆地・広島で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)では核の脅威が大きく取り上げられ、核軍縮への努力を謳った「広島ビジョン」なるものが採択された。各国首脳が揃って原爆ドームの前で黙禱し、犠牲者に献花したことも有意義なことであった。

戦術核兵器の脅威に晒されるゼレンスキー大統領は今、何を思うのか(POOL/REUTERS/AFLO)

 しかし、広島や長崎の被爆者たちの間からは、サミットの成果は全く不十分だったとの不満と落胆の声が聞かれる。「広島ビジョン」では核廃絶へのはっきりした道筋が示されていなかったからだ。

 私事ながら筆者自身、外務省退官後の一時期、1990年代の約10年間、広島、長崎両市長の外交顧問のような立場にあり、被爆者たちとも緊密に交流していたので、その方々の切実な気持ちは痛いほど分かる。

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【断舌一歩手前】核抑止を否定する広島県知事の無責任な妄言[桜R5/8/15]