「資源の偏在性を解消して世界の平和と安定にも資するエネルギー」「このままでは、我が国は、技術を提供するだけで産業化に遅れ、結果的に市場競争に敗れるというリスクに晒されている」─。今年4月、政府が策定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」。そこには、エネルギー自給率の低さに喘ぐ日本が描く〝バラ色の未来〟と〝並々ならぬ危機感〟が併記されている。

(DRPIXEL/GETTYIMAGES)

 「核」によるエネルギーだが、原子力発電とは原理が異なる。核融合が原子核同士の「融合」で得られるエネルギーなのに対し、原発は原子核の「分裂」で生じるエネルギーだ。東京電力福島第一原子力発電所の事故で国民は原発への不信感を募らせた。その根底には設計時の想定を大幅に超えて過酷な状態に至る「シビアアクシデント」に対応できなかったことや、高レベル放射性廃棄物の処理問題への懸念があるのだろう。

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