安倍晋三元首相の国葬が行われた。7月に安倍元首相が暗殺されて以来、国葬の是非をめぐって議論が行われ、国葬支持が徐々に後退、世論調査では、半分以上の国民が国葬に反対していることになっているものもある。しかし、実際に国葬が行われて、その内容を精査してみる限り、この国葬は、国益にかなったものとみることができる。それは次の理由からである。

安倍元首相の国葬は行われるべきだったのか(代表撮影/ロイター/アフロ)

そもそもなぜ意見が割れたのか

 まず、安倍元首相が暗殺されて以降の経緯をたどってみると、なぜ安倍元首相の国葬への反対派がこれほど増えたのか、理解できる側面がある。それは安倍元首相の功績は挑戦的なものが多く、国際的にも、国内的にも、そもそも賛否が分かれるものだからだ。

 安倍元首相の最も大きな成果は、外交安全保障であったと考えられる。2007年のインド国会での演説で、後の「インド太平洋」と、「クアッド」にあたる日米豪印の戦略的な協力を提唱した。これは特に、対中国戦略を考える上で斬新な考え方であった。

>>続きを読む