ロシアの欧州向け天然ガス供給抑制により、引き起こされた欧州エネルギー危機はエネルギー安全保障の状況を大きく変えた。欧州諸国は今、脱ロシア産化石燃料を急いでいる。欧州委員会(EC)は、既に8月からロシア石炭の禁輸を決め、原油・石油製品についても年内の禁輸を提案しているが、まだ正式決定はしていない。

(NiseriN/gettyimages)

 短期間での脱ロシアが難しい天然ガスについては、ロシアからの輸入量を削減しつつ米国からの液化天然ガス(LNG)などへ供給源を広げているが、エネルギー価格の上昇を招き、欧州諸国は大きなインフレに見舞われている。今は欧州ほどの物価上昇率になっていない日本も、やがて欧州並みの7、8%のインフレ率になるかもしれない。

 依存度が高い天然ガスを含め化石燃料の脱ロシアが欧州連合(EU)の大きな課題だが、ECは脱ロシアを2027年までに実現する具体案を5月18日に発表した。脱化石燃料を図り、50年温室効果ガス実質排出量ゼロを達成する道筋を示す案でもある。

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