3月23日、国会内でウクライナのゼレンスキー大統領による演説が中継された。その場では、大きな拍手が起こり国会議員たちは団結しているように見えた。だが、これによって日本の方向性が確認され、国として政策的に一体化ができているのかというと、そうではない。表面的な拍手の一方で、今でも安全保障に関する国論は割れており、国際的な危機にあたって日本は、国家としての方向性を一本化できていない。

ウクライナのゼレンスキー大統領によるビデオ演説が中継されても、日本の安全保障における方向性は一本化されない(代表撮影/ロイター/アフロ)

 戦後77年、こうした傾向は続いている。

 国の方向性、とりわけ安全保障政策に関しては国論はバラバラであった。その結果として、実現可能な複数の選択肢を実務的に討議して世論と対話し、国としての意思決定を行うということは、ほとんどなかった。今回の危機は、改めてこの点を浮き彫りにしたといえる。

>続きを読む