「Wedge」2021年6月号に掲載され、好評を博した特集「押し寄せる中国の脅威 危機は海からやってくる」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
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中国にとって、経済安全保障上の生命線であるマラッカ海峡を他の国々に握られてしまえば、万事休すだ。中国が安定勢力圏を構築しようとするのであれば、将来的なマラッカ海峡の掌握は必須となる (PHOTO BY GETTYIMAGES)

 中国は、東南アジアのマラッカ海峡の戦略的重要性を強く認識しており、対外進出を本格化させた21世紀に入ってからは二つの方策を試みてきた。

 一つは、海上輸送路に代わるパイプラインや鉄道など新たな陸上輸送ルートの確保である。しかし、これらは現地政情の変化といった困難が付きまとう上、海上輸送路と比較すれば圧倒的な輸送量の低さと安全性確保の難しさがある。もう一つは、マラッカ海峡の周辺国に有形無形の影響力を高める戦略である。これは2010年代の「一帯一路」戦略の公式化につれて本格化し、各種の浸透工作が積極展開されていった。その鍵の一つとなったのが、華人を通じたアプローチである。

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