長崎市風頭公園にある坂本龍馬の銅像 写真/アフロ

(町田 明広:歴史学者)

幕末維新人物伝2022(1)「坂本龍馬は薩摩藩士か?①」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68946

藩士の定義とは

 慶応元年(1865)5月、薩摩藩士・坂本龍馬としての履歴がスタートしたと筆者は考えるが、果たして龍馬は本当に薩摩藩士だったのであろうか。そもそも、藩士とは一体何か、まずはその定義づけを行おう。

 一般論として、大名の家臣は必ず分限帳(家臣団名簿。主君が主従関係を持った相手は誰かを判別するツール)に登載されることになる。龍馬は土佐藩において、郷士身分を獲得した事実は存在せず、あくまでも郷士の次男または弟に過ぎない。厳密に言えば、山内家の家臣ではないため、山内家の分限帳には未登載となっている。

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