7月1日、NAFTA(北米自由貿易協定)に代わるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)が発効した。米国、メキシコ、カナダの3か国が、新たに北米のサプライチェーンの拡大に向け、一歩を踏み出した模様だ。

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 このUSMCAについて、オバマ政権時代の高官のRobert Jacobson元駐メキシコ米国大使及びTom Wyler元商務長官補佐官が、米国はサプライチェーンを中国に依存せず、競争力を高めるために北米市場の統合を進めるべきで、そのためにはカナダ、メキシコとの信頼関係の再構築が不可欠であると、7月31日付のForeign Affairsに投稿している。

 対メキシコ、カナダ関係は、トランプ外交のいくつもの失敗の中でももっとも米国の利益を損なったものの1つであると言える。

 記事の筆者は、USMCA(米墨貿加自由貿易協定)には問題もあるが、北米市場統合の枠組みとして活用される事を期待している。

 しかし、USMCA自体、NAFTAを時代の進展に合わせたという面とTPP(環太平洋連携協定)を取り込んだという面に加えて、米国第一主義によるプラスアルファから構成されており、看板の付け替えに近いものであるが、このプラスアルファの部分が問題である。

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