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宇宙を巡る米中覇権争い「見えない攻撃」で増すリスク [2)世界・軍事]

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 今日の宇宙技術は、米ソの核競争とともに発展してきた。宇宙の軍事利用に関して言えば、米ソは互いの核・ミサイル活動監視のため、人工衛星を使った早期警戒や通信、測位などの技術開発を競い合ってきた。もっとも、これらの技術は結果的に、両国の核・ミサイル活動の透明性を高め、核大国同士が安定的な関係を築くのに役立ってきた側面もある。このように宇宙の軍事利用が核戦略と強く結びついていた「第一の宇宙時代(First Space Age)」には、宇宙は(核)戦争に至らない段階での情報・通信関連活動に用いられることが主であった。

 ところが、冷戦終結後間もない1991年の湾岸戦争は「第二の宇宙時代(Second Space Age)」の到来をもたらした。米軍は開戦と同時に巡航ミサイルや精密誘導兵器を駆使して、イラク軍の組織的な防空体制を瞬く間に破壊した。この時、ソ連のミサイル活動を監視するための偵察衛星や早期警戒衛星をイラク軍の動向を把握するために戦術的に応用することで、相手に対する一方的な情報優越を確立し、それが戦闘結果に与える影響を世界に知らしめたのである。

 湾岸戦争以後も米軍は、GPSを活用した衛星誘導爆弾(JDAM)とステルス爆撃機などを組み合わせることで、24時間・全天候型の攻撃体制を確立するなど、宇宙を通して軍事作戦を洗練させていった。

宇宙軍発足を発表するトランプ大統領(UPI=KYODO NEWS)

 

 米軍のような近代化された軍隊にとって、安定的に宇宙を利用できる環境を維持することは、陸海空の統合作戦に不可欠な要素となっている。しかしこれは、宇宙利用を妨害できれば、陸海空で勝る相手の軍隊の作戦行動を効果的に妨害しうることの裏返しでもあった。これに目を付けたのが中国である。

 

 

 

 


タグ:宇宙軍拡
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