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津川雅彦・・「プライド 運命の瞬間」(平成10年)は戦争美化と文化人の批判受けながらも大ヒット

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【産経抄】8月9日

 一昨日のコラムで取り上げた小紙の連載記事「わたしの失敗」には、俳優の津川雅彦さんも登場する。主演した映画が「大コケ」したり、不倫スキャンダルで仕事を干されたりと、失敗話に事欠かない。

 ▼最大のピンチは、経営していたおもちゃ会社の失敗だろう。多額の負債を抱え、妻の朝丘雪路さん名義の自宅を売却せざるを得なかった。今年5月、朝丘さんを見送った後の会見でも、感謝の気持ちを言葉にしていた。

 ▼そもそもおもちゃにのめり込んだのは、溺愛する一人娘のためである。昭和49年8月、生後5カ月の長女が自宅に忍び込んだ男に誘拐され、41時間後に救出される。事件解決を伝える小紙の記事には、笑顔で娘を抱きしめる津川さんの写真が掲載されていた。無精ひげに心労がにじみ出ている。

 ▼津川さんは事件の後、「日本一の役者になる前に世界一のパパになろう」と決心する。娘のためのおしゃぶりを買いに行くと、自然素材の製品が売っていない。そこで自分で安全なおもちゃを扱う店を開いたというわけだ。

 ▼誘拐事件を経験した津川さんにとって、北朝鮮による拉致事件は人ごとではなかった。「拉致問題をわがことのように思える人間」として、政府が作る啓発ポスターに協力した。被害者の早期救出を願うコンサートの総合プロデュースも引き受けた。

 ▼今月4日、78歳で亡くなった津川さんの主演作のリストを見ると、演じた役柄の幅広さに改めて驚く。なかでも、「プライド 運命の瞬間」(平成10年)の東条英機は、思い入れの強い役のようだ。戦争を美化しているなどと、一部の文化人から批判を受けながらも、映画は大ヒットした。津川さんは、デビュー作の「狂った果実」と並ぶ代表作だと言い切っていた。


タグ:産経抄
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