SSブログ

さすが「孫悟空」の国、と感心している場合ではない 1月26日

閉じる

【産経抄】さすが「孫悟空」の国、と感心している場合ではない 1月26日

 英国のイアン・ウィルマット博士らが1997年に発表した、クローン羊「ドリー」誕生のニュースは衝撃的だった。この技術を応用すれば、「クローン人間」、つまり人間の複製も可能になるからだ

 ▼昨年ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんは当時、「小説に使える」と直感したそうだ。それから8年の月日を経て完成したのが、『わたしを離さないで』である。英国の田園地帯で周囲から隔離された施設「ヘールシャム」には、大きな秘密があった。そこで暮らす子供たちは、治療用の臓器を提供するために生み出されたクローン人間だった、との設定である。

 ▼2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞した京大の山中伸弥教授のグループが作製した「iPS細胞」もまた、世界を驚かせた。あらゆる臓器や組織の再生治療に役立つ万能細胞である。しかも、人の卵子を必要とするクローン技術が使われていない。

 ▼もっとも「クローン人間」に期待されるのは、臓器の提供だけではない。米国では、大リーグのスター選手の遺体の一部が冷凍保存されている。将来の「復活」を想定している。亡くした子供の再生を願う親にとっては、夢の技術になり得る。

 ▼中国科学院のチームが、人と同じ霊長類のサルのクローン誕生に成功したと、米科学雑誌に発表した。ドリーと同じ「体細胞クローン」と呼ばれる手法である。さすが、自分の毛を吹いて次々に分身を作り出す「孫悟空」の国、などと感心している場合ではない。

 ▼クローン人間作りは、倫理と科学的な安全性の両面から、欧米諸国や日本では禁じられているただ科学技術の分野でも世界の覇権を狙う中国で、研究の暴走を押しとどめられるのか、はなはだ疑問である。


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント