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言葉は世に連れる。では法律は? 10月12日

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【産経抄】言葉は世に連れる。では法律は? 10月12日

 「ごく普通」の中学1年の男子生徒が、遅刻を注意されカッとなって、女性教師にナイフを向けた。栃木県内の公立中学で平成10年に起きた教師刺殺事件は、社会に衝撃を与えた。その後も全国で少年によるナイフ事件が続発する。

 ▼当時小紙の「主張」欄は、「10代の君たち キレるな、ムカつくな!」と呼びかけた。「キレる」「ムカつく」はもともと、大阪の芸人さんが楽屋で使っていた言葉らしい。テレビを通じて世に広まった(『「お笑い」日本語革命』松本修著)。

 ▼今や10代の少年に限らない。傷害や暴行などで摘発される65歳以上の高齢者、いわゆる「暴走老人」も急増している。神奈川県大井町の東名高速道路で6月に起きた死亡事故も、キレてムカついた25歳の男によって引き起こされた。

 ▼きっかけは、パーキングエリアでのささいなトラブルである。石橋和歩容疑者は、ワゴン車に乗る萩山嘉久さんから迷惑駐車を注意されて頭に血がのぼったようだ。ワゴン車を追い、前に割り込んで停止させた。車を降りた石橋容疑者が萩山さんを引きずり降ろそうとしているところに、後続の大型トラックが突っ込んできた。萩山さんと妻の友香さんは死亡した。車内にいた高校1年の長女と小学6年の次女は無事だった。とはいえ、心に受けた傷の深さは想像を超える。

 ▼石橋容疑者の「逆恨み」を指摘する記事もあった。本来は、恨みに思う人から恨まれる、あるいは、人の好意を悪くとって恨む、との意味である。ただ最近では、筋違いのことで相手を恨む場合にも使われる。

 ▼言葉は世に連れる。しかし、法律はそうはいかない。石橋容疑者に自動車運転処罰法違反、つまり「過失」しか問えないのは、どうにも納得がいかない。

 


タグ:産経抄
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