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小池百合子知事は「大岡裁き」のつもりか、三方納得とは思えない 6月22日

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【産経抄】小池百合子知事は「大岡裁き」のつもりか、三方納得とは思えない 6月22日

 3両入りの財布をめぐって意地を張り合っていた2人の職人は、お裁きに納得して仲直りする。奉行は2人に食事を振る舞った。「これ両人とも、いかに空腹でも、たんと食すなよ」「へへ、多かあ(大岡)食わねえ」「たった一膳(越前)」。

 ▼落語の「三方一両損」は、江戸町奉行、大岡越前守忠相(ただすけ)の名裁判を伝える「大岡政談」が基になっている。平成の町奉行、小池百合子東京都知事も「大岡裁き」に倣って、三方まるく収めるつもりなのか。

 ▼築地市場の豊洲市場への移転問題で、2つの市場の両立という基本方針を初めて打ち出した。市場が豊洲に移転すると、築地の跡地は五輪の輸送拠点として活用する。その後再び「食のテーマパーク」として再開発するという。「築地は守る、豊洲を生かす」。キャッチフレーズは相変わらず巧みである。

 ▼ただし、移転賛成と反対に分かれている市場関係者と、ゴタゴタを見守ってきた東京都民、三方がこのまま納得するとはとても思えない。両市場の共存に至る工程、財源など、具体策は何一つ示されていないからだ。都議選の告示を23日に控えて、「決められない知事」との批判をかわすのが目的と、受け取られても仕方がない。

 ▼実は「大岡政談」に記されているのは、ほとんどが別の奉行や中国の裁判のエピソードである。忠相はむしろ行政官として辣腕(らつわん)を振るった。江戸を火災から守る町火消組合を結成し、貧窮者の治療を行う小石川養生所を設立した。物価の値上がりにも目を光らせた。

 ▼それら改革の成果に喝采を送った江戸の庶民が、「大岡政談」の物語を生み出したといえる都民が求めているのも、パフォーマンスではない。リーダーの改革への断固とした決意と実績である。

 


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