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譲位めぐる民進党幹部らの物言いが、どうにも気になる 1月28日

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2017.1.28 05:04

【産経抄】譲位めぐる民進党幹部らの物言いが、どうにも気になる 1月28日

民進党の野田佳彦幹事長=国会内(斎藤良雄撮影)

 天皇陛下の譲位をめぐる議論が主要テーマとなった26日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が戒めた語句が耳に残った。「それはまさに、玉座(ぎょくざ)を胸壁となすことにつながっていく」。立法府たる国会の場で、陛下のお言葉を引用することには、慎重でなければならないとの指摘である。

 ▼胸壁とは、胸の高さに築いた矢防ぎの壁やとりでを意味する。大正2年に、後に憲政の神様と呼ばれる尾崎行雄が、桂太郎内閣をこう糾弾したことが有名だ。「彼らは玉座をもって胸壁となし、詔勅をもって弾丸に代えて政敵を倒さんとするもの」。

 ▼自分たちこそ天皇の意を体していると、天皇の権威を利用してかさにかかる態度を批判したものである。明治憲法下でも、こうした「玉座の蔭(かげ)に隠れて政敵を狙撃するがごとき挙動」(尾崎)はよろしくないとされてきた。

 ▼譲位をめぐる民進党幹部らの物言いが、どうにも気になる。彼らは陛下のお言葉を引用して「十分忖度(そんたく)」(野田佳彦幹事長)、「しっかり忖度」(細野豪志代表代行)などと強調する。他者の心を推し量る「忖度」という言葉を多用し、政府はそれをしていないと攻撃する。

 ▼まるで、玉座に近しいのはわれらの方だと言わんばかりだが、陛下のご意向を反映させるばかりでは「天皇は国政に関する権能を有しない」と定める憲法と矛盾する。政府が「忖度」で突き進めば、国家権力の恣意(しい)的行使を制約する立憲主義にも反することになろう。

 ▼国家の基本にかかわる譲位は、決して政争の具にしてはならない。天皇の権威を奪い合い、一方が「官軍」、他方が「賊軍」となるような事態を招いてはならない。国会議員は、絶対に玉座を胸壁となすことのないよう、肝に銘じてもらいたい。

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