【赤の広場で】日本との考え方の違いを痛感…不誠実な印象受ける「ロシア流交渉術」
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2016.11.3 14:44
【赤の広場で】日本との考え方の違いを痛感…不誠実な印象受ける「ロシア流交渉術」
「10を手に入れるために50を要求する。それがロシアの仕事のやり方です」
極東への日本の経済協力計画をめぐり、実現性が疑わしい巨額の交渉が順調に進んでいるかのような発表をロシア側が行った際に、ある日本企業関係者がぽつりと語った。「もし実際の金額が小さければ、日本側は“困った。もうちょっと(投資を増やせるよう)頑張ってみるか”ということになる」というのだ。
ロシアは自らが何か約束するとき、実際は不可能でも可能であるかのように表明することが少なくないという。努力をアピールしつつ、相手を交渉に引き込む狙いが透けてみえる。
交渉をめぐる考え方自体が違うといえばそれまでだが、「可能なことだけを約束する」日本人には不誠実な印象を与えかねない。
ロシアで取材をしていると、日露の考え方の違いを痛感させられる出来事が多々ある。例えばドーピング問題では、ある識者は「ロシアには理不尽な法律が多過ぎ、人々は多少のルールは破ってもいいと考えている」ことが要因だと説明してくれた。それだけが理由ではないだろうが、規則というもののとらえ方自体が違うというのだ。
経済分野をめぐる日露間の交渉は本格化しつつあるが、議論は本当にかみ合っているのだろうか。(黒川信雄)
タグ:ロシア
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