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【産経抄】「残業100時間で過労死は情けない」…これが企業の「本音」とすれば過労死の根はどこまでも深い 10月13日

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2016.10.13 05:04

【産経抄】「残業100時間で過労死は情けない」…これが企業の「本音」とすれば過労死の根はどこまでも深い 10月13日

高橋まつりさんの遺影と母親の幸美さん=7日、東京・霞が関(天野健作撮影)  

 鈴木建設の営業マン、ハマちゃんこと浜崎伝助は、有給休暇消化率ナンバーワンのマイペース社員である。釣りと家族をこよなく愛し、仕事はいつも後回しになる。西田敏行さん主演の映画『釣りバカ日誌』シリーズ第1作が公開されたのは、昭和63年の暮れだった

 ▼皮肉なことに、ハマちゃんの辞書にはない「過労死」という言葉が、クローズアップされたのも、この年からだ。弁護士グループが、「過労死110番」を開設して相談活動を始めると、朝から晩まで電話が鳴りっぱなしになった。

 ▼「過労死と過労自殺をゼロにしたい」。遺族たちの訴えが実を結び、2年前に施行されたのが、過労死防止法である。もっとも、悲劇は今も繰り返されている。昨年末、電通に勤務する女性社員が自殺したのは、過重労働が原因だった。労災認定されていたことが、今月7日にわかった

 ▼「死んだほうがよっぽど幸福」。月に100時間を超える残業をこなしていた女性社員は母親や友人に、悲痛なメッセージを送っていた。同じ日に、政府が発表した「過労死白書」によると、「過労死ライン」とされる、1カ月の残業時間が80時間を超える正社員がいる企業は、2割を超えている。

 ▼「残業100時間で過労死は情けない」。元大企業幹部の大学教授がインターネットのニュースサイトに投稿した、白書に対するコメントである。批判が集中し、「炎上」する騒ぎになった。これが企業の「本音」とすれば、英語の辞書にまで載るようになった「karoshi」の根はどこまでも深い。

 ▼『釣りバカ日誌』は22作目で完結し、サラリーマンのユートピア物語は幕が下りた。現実の職場で続く地獄の物語に終止符が打たれるのはいつの日か。

 


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