先月末にタイを訪れた。これまでと変わらない風景の中にも、どこかに緊張感が感じられた。
それは国王であるラーマ9世(プミポン・アドゥンヤデート国王)の容態が思わしくないためであり、その雰囲気はどこか昭和天皇が病床に伏せ、X-dayが取りざたされた昭和63年の秋に似ていた。
ただ、タイにおける王権の引き継ぎは日本のようにスムーズに行きそうにない。
暗雲立ち込めるタイの内情
多くの国民はプミポン国王を敬愛している。国王は立憲君主でありながら政治に大きな影響力を及ぼしてきた。
国王はクーデターが起こるたびに、そのカリスマ性によって国の分裂を防いできた。ここ30年ほど、タイが順調に経済発展を遂げることができた背景には国王の存在があった。
現在でもタイには不敬罪が存在する。タイ人は王室について語るとき慎重にならざるを得ないが、それでも私的な場では小声でいろいろと語り合っている。
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