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土用の丑の日はいらない 7月29日

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2016.7.29 05:03

【産経抄】土用の丑の日はいらない 7月29日

 街を歩いても、テレビを見ても「鰻(うなぎ)」の文字が目に入り、食欲がかき立てられる。明日は「土用の丑の日」、そのお祭りムードに、月刊誌「ウェッジ」8月号の特集記事が警鐘を鳴らしている。タイトルは「『土用の丑の日』はいらない」。

 ▼昨年の8月号では、養殖ウナギに使われる稚魚のシラスウナギの密漁を取り上げていた。今回のテーマは、シラスの輸出が禁止されている台湾からの密輸入である。ウナギが大量に消費される「土用の丑の日」に間に合わせるには、日本よりシラスが早い時期にとれる台湾産を使って養殖した方が都合がいい。国産の養殖ウナギを食べているつもりが、実は密輸入に加担しているかもしれない、というのだ。

 ▼ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されて2年たつ。1960年代には200トンを超えていた国内のシラスの漁獲量は、最近、10トンを割るようになった。日本のウナギ文化は、風前の灯火(ともしび)である。

 ▼完全養殖が実現すれば、天然のシラスをとらなくてもよくなる。ただ産業化するには、まだまだ時間がかかりそうだ。近畿大学が開発した「ウナギ味のナマズ」をはじめとする代替品も、根本的な解決策にはなりそうもない。

 ▼ウナギ研究の第一人者である塚本勝巳さんは、ウナギを「ハレの日のごちそう」にする運動を提唱している(『うな丼の未来』)。手軽な食べ物とする考えを改め、特別な日に専門店に足を運び堪能する。ウナギの大量消費が始まったのは、70年代からだ。それ以前の消費スタイルに戻す試みである。

 ▼もちろん、ハレの日が「土用の丑の日」である必要はない。そういえば、「最高のウナギを出せない」との理由で、あえて明日休業する老舗の専門店もあると聞く。

 


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