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は~るばる来たぜ函館へ~ 3月25日

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2016.3.25 05:04

【産経抄】は~るばる来たぜ函館へ~ 3月25日

 昭和40(1965)年に発売された「函館の女」は、歌手、北島三郎さん(79)の最大のヒット曲となった。当時、しゃべり始めたばかりの北島さんの長男が、自宅からいなくなり大騒ぎになる。まもなく近くの交番から連絡があった。

 ▼父親の名前も言えないはずなのに、どうして息子とわかったのか。警察官と坊やの間で、こんなやりとりがあったらしい。「お父さん何してるの」「歌うたってる」「どんな歌」「♪は~るばるきたぜ函館へ~」「あ、サブちゃんの子だ」。

 ▼もとの題名は「東京の門」だった。ただ東京では、メロディーにあわない。そこで北島さんの出身地、函館に変えたというエピソードが残る。7人兄弟の長男だった北島さんは30年、歌手をめざして上京する。青函連絡船で津軽海峡を渡り、青森から鉄道に揺られ上野駅まで20時間もかかった。

 ▼明日開業する北海道新幹線は、東京と新函館北斗まで最速4時間2分で結ぶ。さらに函館まではアクセス列車に乗り換えて20分ほどである。これで北海道から鹿児島県まで約2150キロが、新幹線のレールでつながることになる。

 ▼昭和14年に鉄道省内で「日本全国縦貫弾丸列車構想」が立てられたのが始まりだった。想像を絶する難工事の末に、本州と北海道を陸続きにする世界最長の海底トンネル「青函トンネル」が完成し、連絡船が廃止されたのが63年である。長い長い道のりだった。

 ▼北海道新幹線をテーマにした、サントリーの缶コーヒーのCMに、北島さんが出演している。元鉄道作業員にふんした北島さんは線路脇で、「函館の女」を口ずさみながら、つぶやく。「命がけで掘ったかいがあったなあ」。工事に携わったすべての人の感慨を代弁しているのだろう。


タグ:産経抄
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