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困った人を見つけたら、助けずにはいられなくなる。これからの日本に、一番必要な薬かもしれない。

2015.5.15 05:04更新

【産経抄】
タスケロン 5月15日

 「ドラえもん」が、四次元ポケットから取り出す「ひみつ道具」は、1600種類にもなる。どんな病気にも効く「万病薬」もそのひとつだ。作者の藤子・F・不二雄さんによると、未来の国では、簡単に手に入るそうだが…(『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』小学館)。

 ▼独特のしゃがれた声で、アニメ「ドラえもん」の声を長年担当してきた声優、大山のぶ代さん(78)が、自宅で認知症と闘っている。夫の俳優、砂川啓介さんがラジオ番組で明らかにした。残念ながら今のところ、特効薬はない。

 ▼「人生の落日に向けた旅に出る」。1994年11月、83歳だったレーガン元米大統領による、アルツハイマー病の告白は、全米に衝撃と感動を与えた。続いて映画俳優のチャールトン・ヘストンさんも、ビデオを通じて病気と闘う決意を示す。2008年には、サッチャー元英首相の認知症も公表された。

 ▼レーガン元大統領の告白当時、日本の患者数は約100万人と推定されていた病気に対する偏見や誤解も、根強かった。厚生労働省によると3年前の時点で、認知症高齢者の数は約462万人、10年後には700万を超えると推計される。まもなく高齢者の5人に1人が認知症となる時代に、もはや誰も、目を背けてはいられな

 ▼大山さんには、まだ仕事を続ける意思があるという。好きだった料理ができなくなり、2分前に会った人の名前も思い出せない。そんな告白を、いつもの芸能ニュースとは違う切実さで聞き入った人も少なくないだろう。

 ▼ドラえもんのポケットには、「タスケロン」という薬も入っている。困った人を見つけたら、助けずにはいられなくなる。これからの日本に、一番必要な薬かもしれない。


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