石垣山城 撮影/西股 総生(以下同)

(歴史ライター:西股 総生)

◉石垣山一夜城にまつわる不都合な事実(前編)

急速建造が実現した秘密

(前編からつづく)突如出現した城に北条側が肝を潰した、という話がガセだしても、秀吉が石垣山城を80日間で、どうにか城として使える状態まで持っていったのは事実だ。大勢の人足や職人を動員しての突貫工事であったろう。

 ただ、この驚くべき急速建造が実現したのにも、ちゃんと理由がある。秘密は、石垣山城の立地に隠されている。石垣山城は、箱根の山から海に向かって伸びる尾根の一角にあって、城の北面は早川に臨む崖となっている。

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