バイオマス発電の燃料として期待されるソルガム

 バイオマス発電といえば、コストが高いので、これまでは政府の定めた再生可能エネルギー全量買い取り制度によって推進されてきた。だがここにきて、コストが低く、政府による支援がなくても発電事業ができるのではないか、という技術が登場しつつある。

 ソルガムを用いた発電だ。ソルガムは日本名では「高粱」と書いて「たかきび」ないし「こうりゃん」と呼ぶ。サトウキビに似た丈の高い草で、茎は甘く、イネのような穂をつけ、その実は食用になる。穀物として世界中で栽培されており、中国の蒸留酒白酒(バイチュウ)の原料にもなっている。そのソルガムを用いて発電するのだが、ここ数年で重要な技術進歩があった。

(杉山大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

日本には膨大な品種改良技術の蓄積がある

 これまでのバイオマス発電は、木材のチップや農業廃棄物などを燃料にしていた。だが、石炭などの化石燃料に比べて、いくつか問題があった。大量の原料を安定した価格で継続的に調達することが難しいこと、発熱量が少ないこと、うまく粉砕できないこと、などだった。

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