季節を楽しむために訪れるお店があります。京都・四条河原町の交差点から「真橋通り」という小さな路地に入ると、「加茂川の西 河原町の東 汁」と描かれた暖簾が見えてきます。

(写真・鈴木優太)

 この「志る幸」は、池波正太郎や司馬遼太郎、田辺聖子などの作家に愛されたお店でもあります。古手のファンが多いように思われてしまいそうですが、若い女性、特に一人で訪れている姿もよく見かけます。

 私は、志る幸に通うようになってかれこれ20年になります。志る幸に行って季節を実感しているともいえます。春はタケノコ、夏は鱧、秋はマツタケ、冬は海老芋。

 大将の小堂修平さん(75歳)はこう言います。

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