久山町の田園風景。この風景は、何もせず残ったわけではない

「御料理茅乃舎」と「茅乃舎だし」で知られる久原本家。同社が本社を置く久山町は、豊かな自然環境と独自のまちづくりで知られる。「茅乃舎」が生まれた背景と根底に流れる思想、それを育んだ久山町のまちづくりの哲学を解き明かす。その2回目。

※1回目「高級だし市場を生み出した『茅乃舎だし』、その根底に流れるまちづくりの哲学」から読む

(篠原 匡:編集者・ジャーナリスト、蛙企画代表)

※著者がナビゲーターを務めるテレ東ビズ「ニッポン辺境ビジネス図鑑~福岡県久山町編~」も併せてご覧ください!

 久山町は今から50年以上前の1970年に、町の面積の97%を市街化調整区域に指定した。市街化調整区域とは、都市計画法で定められた「市街化を抑制する区域」のこと。この区域では、住宅や商業施設などを建てる場合は行政への許可申請が必要になる。つまり、町の大半に開発規制がかかっている。

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