将来のインフラの経年劣化が避けられない中、構造物のメンテナンスの重要性が増している。どのような人材や技術が求められるか、橋梁工学が専門の三木千壽氏に聞いた。
三木氏が設計、製作、施工に至るまで総合的に携わった、東京ゲートブリッジ(segawa7/gettyimages)

編集部(以下、─)高度経済成長期のインフラの更新期が迫っている。

三木 社会インフラの老朽化に対する関心が高まる契機となったのは2012年12月2日に発生した中央自動車道笹子トンネルでの天井板落下事故である。

三木千壽(Chitoshi Miki) 東京都市大学 学長 1947年生まれ。徳島県出身。専門は、構造工学、鋼構造学、橋梁工学。東京工業大学名誉教授。著書に『橋の臨床成人病学入門』(建設図書)、『橋梁の疲労と破壊 事例から学ぶ』(朝倉書店)など多数。

 翌年の13年3月、太田昭宏国土交通大臣(当時)は「社会資本メンテナンス元年」を宣言し、同年6月には道路法を改正し、「道路の老朽化や大規模な災害の発生の可能性等を踏まえた道路の適正な管理を図るため、予防保全の観点も踏まえて道路の点検を行うべきことを明確化」することが明文化された。

 まさに、維持管理が法的な根拠のもと、義務化されたのである。

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