古田鎮で全軍政治活動会議に出席した習近平主席(2014年10月、写真:新華社/アフロ)

習近平が権力を勝ち得た本質はなにか。その一つは2012年に国家指導者に就いた時点で、今日に至る政権のグランドデザインをすでに描いていたことだ。2022年までの2期10年間で手掛けた多くの改革や政策は、すべてが大きなパズルのピースであり、それぞれが目的と役割を備えていたのだ。その一例が、人民解放軍の掌握に成功するきっかけとなった緻密な戦略である。(JBpress)

※本稿は『習近平政権の権力構造 1人が14億人を統べる理由』(桃井裕理+日本経済新聞社データビジュアルセンター著、日経BP)より一部抜粋・再編集したものです。

軍の関係性を決定づけた重要な転換点

 党総書記と中央軍事委員会主席に就任後、習氏が最優先で取り組んだのが人民解放軍の掌握だ。中国において共産党と人民解放軍は密接不可分の関係にある。毛沢東は「政権は銃口から生まれる」と語った。新中国は人民解放軍が生み出したものであり、軍に支持されない指導者は党の支持も得られない。

>>続きを読む